神戸経済ニュース 編集長ブログ

神戸経済ニュース(https://news.kobekeizai.jp)の編集長・山本学のブログです

神戸市長の朝日への反論「大連載」が完結 小学校の先生のいじめ問題

 久元神戸市長が自身のブログで、11月4日の朝日新聞社説に対する反論を10回に渡って展開し、教員間いじめの加害者である小学校の先生の給料をストップさせる条例をスピード整備したことの正当性を訴えた。忙しい中ちょっとずつ書き足したのだろうことは想像が付くが、さすがに10回に分割されると読みにくいなと思いつつ、理屈は理解できた。

 反論の的になった朝日の社説も読んだけど、「分限」と「懲戒」の目的の違いをきちんと意識できていますか、と問いたくなるような、やや論理展開の性急さを感じた。社説はニュースに即応しなくてはならないし、文字数も限られるので、大変なのは分かるけど、言論って説得力が命なので、がんばってほしいです。お互いプロやねんから。

 とはいえ、どこからどこまでが分限で、どこからどこまでが懲戒かというのは、簡単に理解できない場合も多いのではないか。警察による逮捕が懲罰と勘違いされやすいのと、ちょっと似ている。市長の言いたいことも分かるが、のちのちまで残る条例であることを考えると条例を乱用する悪徳市長が現れないように見張るしかないのか、と思う人も多いだろう。

 議会でも出ていたのは「久元さんが市長の間はええけど」という指摘だった。いまの神戸市長はバランスの取れた判断をするということで、議会からも住民からも、一定の信頼を獲得していると思う。だから余計に心配になるのだろう。本当は住民が、条例を乱用しそうな人を当選させなければいいのだけど、就任当初から大統領令を乱発したあの人とか、乱用しそうな人が突如として現れて選挙に通ってしまうのが昨今だ。

 条例だって手続きを踏めば改正も廃止もできるわけだから、制度に不備があるとなれば次の手続きを踏めばよい。条例ができたからといって議論を止めるのではなく「公務員の身分とは何か」は財政や経済(特に雇用)などの観点からも引き続き重要なテーマだと思う。朝日の社説なんて無視してもいいのに、市長がわざわざ10回もかけて反論するのは、やはり議論をする価値があるテーマだからだろう。

 20年ほど前に、引退間際の上岡龍太郎が(もちろんギャグで)「いまの公務員は全員ダメ。まず公務員になろうと思ったその心根がダメ」と言って笑いを取っていた。もしかしたら、そういう側面もあるのかもしれないけれど、誰かがやらなくてはいけない公共サービスという仕事があって、それを税金というシステムで運営するのは合理的だ。では税金で雇われる人をどうやってリクルートする? さまざまな議論があって、そら当然だと思う。