神戸経済ニュース 編集長ブログ

神戸経済ニュース(https://news.kobekeizai.jp)の編集長・山本学のブログです

サプライズ花火はイマイチ不発か?

 10月3日午後6時ごろから10分間ほど、新港第2突堤から予告なしに打ち上げられた花火を見かけたけれど、誰が何のために打ち上げたものなのだろうか。「神戸市広報」というツイッターのアカウントは「#試し打ちかな」などと、呑気なタグを付けて花火の写真を発信していたが、本当に何かの試し打ちなのだろうか。

 神戸観光局あたりが、神戸観光の日を記念して花火を打ち上げたことなどが想定されるが、反社会勢力が宣伝のために打ち上げた可能性が排除できないうちは、大々的に取り上げるわけにはいかない。それに「おたくが上げた花火ですか」という電話をかけようにも、午後5時半を回ると電話がつながらない場合が多い。

 今年から神戸市は、サプライズで打ち上げる花火に補助金を付けている。100万円を上限に、打ち上げにかかる経費の半額を補助するという制度だ。問題は、なぜかサプライズ花火(事前に広く周知しない花火)しか補助対象でないということ。事前に広く周知する花火に補助はつかないのだ。

 結果として神戸港での花火は(「みなと神戸会場花火大会」の5日間を除いては)サプライズ花火しかなくなる見込み。ハーバーランド30周年で花火を打ち上げるのを事前に周知しなかったのも、補助金がねらいとみられる(違ってたらすみません)。いずれにしても花火を上げるなら補助が出る条件に合わせよう、となりやすくはなる。

 しかし、そもそも花火のような危険なイベントを事前に隠す必要がどれだけあるのか。近くの高速道路を走っていて、花火の大きな音に不意打ちされた人は、思わずブレーキを踏んでしまったりしないだろうか。あるいは花火の近くにいて、時間的にも事前に知っていれば見られたのに、という人にとって見られなかったときの不公平感は大きいだろう。

 それに繰り返しになるが、まともなメディアほど、花火を取り上げるのを見送るだろう。真っ当な組織などによって打ち上げられた花火かどうかを確認するまでは、やはり取り扱いにくい。いつ誰が神戸港に花火を上げるか嗅ぎまわるほど、記者もヒマではない。結局、役所が某地元新聞に頼んで書いてもらうというオチだ。

 都市には「非日常」が必要で、それを何とかして作り出したいという神戸市役所の試みは意欲的ではある。しかし全体の合意で動く役所に「非日常」を作り出す役割は無理がある。都市に活力があれば湧いてくるのが「非日常」だ。非日常を作り出す才能がある人も、ない人も平等に、快適に暮らせるようにするのが役所の役割だろう。

 結婚式の余興などで、どうしてもサプライズでないと困るという場合を除いては、神戸市が補助する花火のスケジュールを全部、公開してはどうか。何度も上がるのが分かっていれば、密集も避けられる。それで花火を楽しめる人が増えるのだから、税金の使い道としても納得度が高まるという気がするのだけれど、どんなもんだろうか。