神戸経済ニュース 編集長ブログ

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普通はITでカバーしようとか考える

 毎月勤労統計がデタラメだったかもしれない、その背景には厚労省で統計の専門家が育っていないことがある--という話になっている。一義的には、それはその通りなのだろうけど、かつて会社員時代に統計コンテンツを担当した身としては、担当者に昔ほどの専門知識は不要なのではないか、とも思う。手元の表計算ソフト(たとえばExcel)では、かなりのことができる。使い方が分からなくても、検索すれば出てくる。専用のソフトを使ってもいいし、個人情報を隠した形で集計の部分だけ外注することも可能だろう。

  それに人員削減や人事異動の影響を、普通はIT(情報技術)でカバーしようと考えるはずだ。長く担当した人が異動になれば、最初の1カ月くらいは前任者にアドバイスを受けたりするものだけれど、その際にもグループウエアなどのITが有力なツールになる。また一般的には、仕事にITを投入することによって作業フローが整理されるので、マニュアル化も進展する。統計コンテンツの担当を引き継いだとき、一部の調査ではすでに協力先がウェブ上で回答すればいいようになっていて、「ボタンを押すだけで報告書まで作成できる」という調査もあった。結果として最も大事な名簿の管理(協力先探し)に多くの時間を割くことができた。

  統計でのオペレーションミスがあったのは、要するに統計の作業手順をブラッシュアップしていなかったからだろう。担当になれば通常は自分のために(評価されるためにとか、早く帰るためにとか)仕事を効率化するものだが、それを奨励しない職場だったのだとすれば、それはもう体質としか言いようがない。今回統計の不祥事が相次いだ旧労働省。体質を垣間見たと思ったのは昨年、同省関連で最も身近な機関である職業安定所ハローワーク)に行ったときのことだ。驚いたのは、窓口では失業者の実名、しかもフルネームを大声で叫んでいた。失業者をさらし者にする意図はないとは思う。しかし名前を大声で叫ぶかね。いまどき病院でも番号でしか呼ばれないというのに。

  人権感覚だって昭和の時代とは大きく変わっている。少なくとも、そこに職業安定所は対応していない。一事が万事ということでもないのだろうが、役所の仕事の中身が昭和時代と一切変わらないまま、人員削減などが進んだのであれば、そりゃあミスも出るだろう。そして隠せるものは隠した方が良い、と考えるのも昭和の感覚だ。いずれ明るみに出るのが、ITが普及した社会だと考えたほうがよい。必ず誰かが検証するし、必ず誰かがつぶやいたりする。しかし役所の体質改善って、どうやって進めるのだろう。トップ(大臣)はコロコロ変わるし、市場原理も働かない。難しい。